深夜のアルバイトは、高時給であることや日中の時間を有効活用できるといったメリットがある一方で、生活リズムの乱れや肉体的な疲労から「きつい」と感じてしまう方が少なくありません。
特に23時までのシフトは、一見するとそこまで遅くないように感じられますが、帰宅後の生活や翌日の活動に大きな影響を及ぼす絶妙な時間帯でもあります。
本記事では、23時までのバイトがなぜこれほどまでにしんどいと感じられるのか、その具体的な理由を深掘りし、現状を改善するための実践的な対策を詳しく解説します。
23時までのバイトが「きつい」と感じる主な理由
多くのアルバイト先で「締め作業」が伴う23時までのシフトは、身体的にも精神的にも負担がかかりやすい傾向にあります。
ここでは、なぜこの時間帯の勤務が特に辛く感じられるのか、いくつかの視点から分析します。
身体的なリズムの乱れと睡眠不足
人間にはサーカディアンリズム (概日リズム) と呼ばれる体内時計が備わっており、本来は夜間に休息をとるようにできています。
23時まで勤務するということは、最も眠気が強まり始める時間帯に神経を研ぎ澄ませて働いていることになります。
仕事が終わってから帰宅し、入浴や食事を済ませると、どうしても就寝時間は深夜1時や2時を過ぎてしまいます。
翌朝に学校や本業がある場合、慢性的な睡眠不足に陥りやすく、日中の集中力低下や倦怠感を招く原因となります。
また、深夜に活発に動くことで交感神経が優位になり、帰宅してもすぐに寝付けないという悪循環も「きつさ」を助長する大きな要因です。
閉店作業による業務負担の集中
23時が終業時間の職場、特に飲食店や小売店では、閉店前後の1〜2時間に業務が集中します。
接客をこなしながら、清掃、レジ締め、在庫の補充、翌日の準備といった膨大なタスクを短時間で完遂しなければなりません。
特に飲食店の場合、ラストオーダー間際に入店した客の対応をしながら清掃を進める必要があり、精神的な焦りや肉体的な疲労がピークに達します。
また、万が一レジの金額が合わないなどのトラブルが発生すると、23時を過ぎても帰れないといった事態も想定されます。
このような「時間との戦い」が、精神的なストレスを増大させているのです。
社会的疎外感とプライベートの制限
23時まで働いていると、友人や家族との夕食、趣味の時間といった、一般的な「アフターファイブ」の楽しみを享受することが難しくなります。
世の中の多くの人がリラックスしている時間帯に働いているという事実は、時に心理的な孤独感を生みます。
特に週末やイベントがある日に23時までシフトが入っていると、周囲の楽しそうな様子と自分を比較してしまい、モチベーションの維持が困難になることもあります。
プライベートの充実が仕事の活力になることを考えると、この時間帯の制約は想像以上にメンタルヘルスに影響を与えます。
深夜勤務が体に与える具体的な影響
23時までのバイトを継続することで、私たちの体にはどのような変化が起きるのでしょうか。
科学的な視点も含めて解説します。
脳の覚醒状態が続くことによる不眠
仕事中は、ミスを防ぐために脳内でドーパミンやアドレナリンが分泌されています。
これらは脳を覚醒させる働きがあるため、23時に退勤した直後は脳が非常に興奮した状態にあります。
この状態のまま帰宅し、すぐに寝ようとしても、脳がリラックスモードに切り替わらず、質の高い睡眠を得ることができません。
これを「入眠障害」と呼びますが、23時までの勤務はこのリスクが非常に高い時間設定と言えます。
食生活の乱れと健康への懸念
23時までのシフトでよくある問題が、夕食のタイミングです。
勤務前に早めに食べるか、あるいは勤務後に深夜の食事(夜食)を摂ることになります。
| 食事のタイミング | メリット | デメリット・リスク |
|---|---|---|
| 勤務前 (17時〜18時頃) | 空腹で集中力が切れるのを防ぐ | 勤務終了後にお腹が空き、結局夜食を食べてしまう |
| 勤務後 (23時半以降) | 仕事終わりの達成感とともに食事ができる | 消化器への負担が大きく、肥満や逆流性食道炎の原因になる |
特に深夜の食事は、脂肪を溜め込みやすい「BMAL1 (ビーマルワン)」というタンパク質が増加する時間帯と重なるため、生活習慣病のリスクを高める要因にもなり得ます。
精神的な疲労の蓄積
慢性的な睡眠不足と生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩します。
これにより、イライラしやすくなったり、気分の落ち込みが激しくなったりする「メンタル不調」を引き起こす可能性があります。
23時までのバイトを「きつい」と感じるのは、単なる甘えではなく、体からのSOSサインである場合が多いのです。
23時までのバイトを続けるメリットはあるか?
「きつい」という側面ばかりが目立ちますが、一方でこの時間帯に働くことのメリットも確かに存在します。
現状を客観的に判断するために、ポジティブな側面も整理しておきましょう。
深夜手当による効率的な稼ぎ
労働基準法では、22時から翌朝5時までの勤務に対して25%以上の深夜割増賃金を支払うことが義務付けられています。
例えば時給が1,200円の場合、22時以降は1,500円になります。
23時までのシフトであれば、最後の1時間は必ずこの深夜手当がつくため、短い時間で効率よく稼ぎたい人にとっては魅力的な条件です。
月に20日勤務すれば、深夜手当だけで数千円から数万円の差が出るため、金銭的なメリットは無視できません。
日中の時間を自由に使える
学生であれば授業、主婦・主夫であれば家事や育児、フリーランスであれば自分の作業など、日中の時間をフルに活用できるのが深夜帯バイトの最大の利点です。
銀行や役所などの公共機関、医療機関を利用しやすいのもメリットの一つでしょう。
独特の連帯感とスキルの習得
閉店作業を共にするスタッフ間には、一種の「戦友」のような連帯感が生まれることがあります。
また、レジ締めや店舗のクローズ業務は、責任感が必要な作業であるため、店舗運営の裏側を学ぶことができ、将来的なキャリアにおいてプラスに働く経験を積むことが可能です。
「23時までがきつい」と感じた時の5つの対策
もし今、あなたが23時までのバイトに対して限界を感じているのであれば、以下の対策を試してみてください。
自分自身を守りながら働き続けるための具体的なヒントをご紹介します。
1. 睡眠環境とルーティンの徹底改善
帰宅後の時間をいかに効率的に、そしてリラックスして過ごすかが鍵となります。
- 入浴の工夫: 帰宅後はシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで副交感神経を優位にします。
- スマホを控える: 帰宅後のスマホ利用はブルーライトの影響で脳をさらに覚醒させます。寝る30分前には画面を見ないようにしましょう。
- 食事内容の調整: 深夜に食べる場合は、スープやうどんなど消化の良いものを少量だけ摂るように心がけます。
2. シフト頻度の見直し
週5日で23時までのシフトに入っている場合、それを週3日に減らすだけでも疲労の蓄積度合いは劇的に変わります。
「連勤を避ける」というルールを自分の中で作るだけでも、メンタル的な余裕が生まれます。
店長やマネージャーに相談し、生活への支障が出ている旨を正直に伝えてみましょう。
3. 退勤後の移動手段を見直す
もし徒歩や自転車で帰宅している場合、その時間が冬場の寒さや夏場の暑さで体力を奪っている可能性があります。
また、終電ギリギリのストレスも無視できません。
可能であれば、家族の送迎を頼む、あるいは比較的安全で負担の少ないルートを再確認するなど、「帰宅時のストレス」を最小限に抑える工夫をしてください。
4. 22時までのシフトに変更を打診する
深夜手当はなくなりますが、22時で仕事を終えることができれば、生活リズムは大幅に改善されます。
23時までの1時間が、翌日のパフォーマンスを著しく下げているのであれば、「1時間早める」という選択は非常に合理的です。
店舗側としても、全く辞められるよりは、時間を短縮してでも続けてほしいと考えるのが一般的です。
5. 仕事内容を変える・転職を検討する
「23時までの勤務」そのものよりも、「23時までの勤務に含まれる業務(重い清掃など)」が負担になっている場合もあります。
その場合は、同じ深夜帯でも業務負担が少ない別の職種(例:深夜のデータ入力、施設警備、セルフガソリンスタンドの監視員など)に目を向けてみるのも一つの手です。
自分に合った職種を選ぶことで、同じ23時終了でも感じ方は大きく変わります。
深夜バイトを辞めるべきか判断する基準
最後に、今のバイトを辞めるべきか、あるいは続けるべきか迷っている方のために、判断の目安となるチェックリストを用意しました。
| 項目 | 危険度:高 (辞めるべき) | 危険度:低 (継続可能) |
|---|---|---|
| 体調面 | 常に頭痛や倦怠感があり、休日に寝ても治らない | 仕事の後は疲れるが、寝れば翌朝にはスッキリしている |
| 学業・本業 | 欠席が増えたり、成績が著しく下がったりしている | 多少眠い時はあるが、やるべきことはこなせている |
| 精神面 | 出勤前になると動悸がしたり、涙が出たりする | 「だるいな」とは思うが、仕事が始まれば普通にこなせる |
| 目的意識 | お金のためだけ。辛さが給料の喜びを上回っている | 将来の目標や、どうしても必要な資金のために頑張れている |
もし「危険度:高」に当てはまる項目が多い場合は、無理をして自分を壊す前に、環境を変える決断をすることをお勧めします。
体は一つしかありません。
まとめ
23時までのバイトがきついと感じる理由は、単なる肉体疲労だけでなく、生物学的なリズムの乱れ、閉店作業のプレッシャー、そして社会的な生活との乖離が複雑に絡み合っているためです。
この時間帯の勤務は、効率的に稼げるというメリットがある反面、健康や私生活に与える代償も決して小さくありません。
もしあなたが「もう限界だ」と感じているのであれば、それは自分のライフスタイルを見直す絶好の機会です。
睡眠環境の改善やシフト調整など、まずは自分でコントロールできる範囲から対策を始め、それでも状況が好転しない場合は、思い切ってより自分に合った働き方を探してみてください。
自分にとって最適なバランスを見つけることが、長期的に見て最も価値のある選択となります。






