アルバイトのシフトで「5時間」という時間は、一見すると短く感じるかもしれません。
しかし、実際に働いてみると「意外と長い」「想像以上に疲れる」と感じる人が非常に多いのが現実です。
フルタイムの8時間勤務に比べれば短いものの、5時間勤務には休憩なしで働き続けなければならないケースが多いという、特有の厳しさがあります。
本記事では、なぜ5時間のバイトがきついと感じるのか、その理由を多角的に分析し、体力的・精神的な負担を軽減するための具体的な対策を詳しく解説します。
バイトの5時間が「きつい」と感じる根本的な理由
多くのアルバイト現場において、5時間という勤務時間は「休憩を与えるかどうかの境界線」に位置しています。
これが、働く側にとって大きな負担となる主な要因です。
労働基準法における休憩時間のルール
日本の労働基準法では、労働時間に応じた休憩時間の付与が義務付けられています。
具体的な基準は以下の通りです。
| 労働時間 | 休憩時間の規定 |
|---|---|
| 6時間以下 | 休憩なしでOK |
| 6時間を超え8時間以下 | 少なくとも45分 |
| 8時間を超える | 少なくとも60分 |
この表からわかる通り、労働時間がちょうど5時間の場合、法律上は休憩を与える義務がありません。
そのため、多くの職場では5時間連続でノンストップの勤務となります。
これが「5時間はきつい」と感じる最大の理由です。
集中力の限界と「90分周期」の壁
人間の集中力が持続する時間は、一般的に90分が限界と言われています。
大学の講義が90分に設定されているのもこのためです。
5時間勤務の場合、この集中力の波を3回以上も連続で乗り越える必要があります。
休憩があればリセットできますが、連続して働き続けると脳が疲弊し、時間の経過が遅く感じられるようになります。
身体的な疲労の蓄積
特に立ち仕事の場合、5時間一度も座らずに動き続けることは足腰に大きな負担をかけます。
また、接客業であれば笑顔を絶やさず、常に周囲に気を配る必要があります。
この「常にオンの状態」が5時間続くことは、肉体的な疲労だけでなく精神的な消耗も激しくさせます。
職種別にみる5時間勤務のきつさ
職種によって、5時間勤務の何がきついのか、その質は異なります。
自分の職種に当てはめて考えてみましょう。
飲食店(ホール・キッチン)
飲食店の5時間シフトは、多くの場合「ランチピーク」や「ディナーピーク」を丸ごと含みます。
- 常に動き回る:オーダー取り、配膳、片付けが絶え間なく続きます。
- 水分補給のタイミングがない:忙しすぎると水を飲む暇もなく、脱水気味になることもあります。
- 精神的プレッシャー:混雑時のスピード感と正確性が求められ、神経をすり減らします。
コンビニ・小売店
コンビニやドラッグストアなどの小売店では、単調さと突発的な忙しさのギャップがストレスになります。
- 立ちっぱなしの苦痛:レジ打ち、品出し、検品など、狭い範囲で立ち続けることが足の浮腫(むくみ)を招きます。
- マルチタスク:レジ対応をしながら公共料金の支払い、宅配便の受付、揚げ物の調理など、複数の作業を並行して行うため、脳が休まりません。
軽作業・工場(仕分け・ピッキング)
倉庫内での軽作業などは、人間関係のストレスは少ないものの、肉体的な負荷が顕著です。
- 単純作業の繰り返し:同じ動作を5時間繰り返すと、特定の筋肉だけが酷使されます。
- 時間の経過が遅い:刺激が少ないため、時計を見るたびに「まだこんな時間か」と絶望感を感じやすくなります。
5時間勤務の疲れを軽減するための事前準備
「たかが5時間」と思わず、しっかりとした準備を行うことで、勤務後の疲労感は劇的に変わります。
適切なシューズとインソールの選択
立ち仕事において、足元の環境は重要です。
クッション性の高い靴を選び、さらに衝撃吸収に優れたインソール(中敷き)を使用することを強くお勧めします。
これだけで、膝や腰への負担を30%以上軽減できる場合もあります。
着圧ソックスの活用
男女問わず、長時間立ち続けると重力によって血液が下半身に溜まり、浮腫(むくみ)が発生します。
これが「足の重だるさ」の正体です。
医療用やスポーツ用の着圧ソックスを着用することで、血流を促進し、5時間後の疲労度を最小限に抑えることができます。
勤務前の栄養補給
空腹状態で5時間勤務に突入するのは危険です。
低血糖になると集中力が切れ、イライラしやすくなります。
- 低GI食品を摂取する:バナナや全粒粉のパンなど、糖質がゆっくり吸収されるものを食べておくと、エネルギーが持続します。
- BCAAやクエン酸:勤務前にアミノ酸サプリメントを摂取しておくと、筋肉の疲労軽減に役立ちます。
勤務中に実践できる「疲れを溜めないコツ」
休憩が取れない5時間勤務の中では、業務の合間にある「隙間時間」をいかに活用するかが鍵となります。
こまめなストレッチと姿勢の改善
ずっと同じ姿勢でいることが、最も筋肉を硬直させます。
- かかとの上げ下げ:レジ待ちの間などに、かかとを上下させるだけでふくらはぎのポンプ機能が働き、血流が改善します。
- 肩甲骨を寄せる:猫背になりがちな作業中、意識的に肩甲骨を寄せて胸を開くことで、深い呼吸ができるようになり、脳への酸素供給量が増えます。
脳内での「時間分割法」
5時間を1つの大きな塊として捉えると、精神的に追い詰められます。
これを「1時間×5セット」や「2時間+2時間+1時間」のように分割して考えるのがコツです。
- 第1ピリオド(最初の1時間):準備運動のつもりで丁寧に動く。
- 第2ピリオド(2〜3時間目):最も忙しいピークを乗り越えることに集中する。
- 第3ピリオド(最後の1時間):片付けや明日の準備を意識して、クールダウンに入る。
このようにゲーム感覚で「今は第何ステージか」を意識することで、精神的な持久力が向上します。
水分補給のテクニック
喉が渇いたと感じる前に、一口でも良いので水分を摂ることが大切です。
バックヤードに行くタイミングがあれば、迷わず一口の水を飲む習慣をつけましょう。
水分不足は疲労感を倍増させ、判断力を鈍らせます。
精神的な「きつさ」への対処法
肉体的な疲れ以上に、5時間という時間の「長さ」に心が折れてしまうこともあります。
バイト後の「自分へのご褒美」を設定する
5時間を耐え抜いた後に、楽しみを用意しておきましょう。
「お気に入りのアイスを食べる」「お風呂でゆっくり映画を見る」「好きなゲームを1時間やる」など、具体的な報酬があることで、脳はドーパミンを放出し、辛さを軽減させます。
「無」になる時間を作る
接客などで神経を使っている場合、あえて意識を自分の内側に向ける時間を作ります。
例えば、品出し中や掃除中に、自分の呼吸だけに意識を向ける「マインドフルネス」の状態を数分作るだけで、脳の疲労がリセットされます。
どうしても5時間が限界だと感じたら
対策を講じても、どうしても5時間勤務が辛くて生活に支障が出る場合は、働き方そのものを見直す時期かもしれません。
シフト時間の調整を相談する
店長やマネージャーに、現状の辛さを正直に伝えてみましょう。
- 4時間勤務に変更する:1時間短くなるだけで、体感的な負担は半分近くになることがあります。
- あえて6時間以上に延ばす:逆転の発想ですが、勤務時間を6時間15分などに設定してもらうことで、法律に基づいた45分の休憩を確実に取得するという方法もあります。5時間休憩なしより、6時間(休憩あり)の方が楽に感じる人は意外と多いものです。
職種を変えてみる
今の仕事の性質が、あなたの適性に合っていない可能性もあります。
- 座り仕事を探す:コールセンターや事務のバイトなら、5時間座って業務ができるため、肉体的な疲労は激減します。
- 高時給の短時間バイト:3時間程度で効率よく稼げる職種に切り替えることで、精神的な余裕が生まれます。
5時間バイトを快適にするための便利アイテム
最後に、5時間勤務の質を向上させるために導入を検討すべきアイテムを整理します。
| アイテム | 効果 | 導入のしやすさ |
|---|---|---|
| 高機能インソール | 足裏の痛み軽減、姿勢改善 | ◎(靴に入れるだけ) |
| 着圧レギンス・ソックス | 浮腫(むくみ)防止、足の軽さ維持 | ◎(ズボンの下に履ける) |
| 速乾性のアンダーウェア | 汗冷え防止、不快感の軽減 | 〇(ユニクロ等で購入可) |
| ゼリー飲料 | 短時間でのエネルギー・水分補給 | 〇(バックヤードで即飲める) |
これらのアイテムは、初期投資はかかりますが、「翌日に疲れを残さない」という長期的なメリットを考えれば、非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。
まとめ
バイトの5時間がきついと感じるのは、決してあなたの体力が乏しいからではなく、「休憩なしで働き続ける」という状況が人間の生理的な限界に近いからです。
労働基準法の仕組み上、5時間は最も効率よく使われる時間帯であり、雇用側にとってはメリットが大きい反面、働く側には大きな負担がかかりやすい設定なのです。
まずは、自分の足元の環境を整えること、そして「5時間を小分けにして考える」といった精神的なテクニックを取り入れてみてください。
それでも辛い場合は、休憩が確実に取れる6時間以上のシフトに変更してもらうか、勤務時間を短縮する交渉を検討しましょう。
アルバイトは生活を豊かにするための手段であり、心身を壊してまで続けるものではありません。
自分に合った「5時間の乗り越え方」を見つけることで、今の職場での居心地も、プライベートの充実度も大きく向上するはずです。
今のきつさを放置せず、今回ご紹介した対策の中からできそうなものを1つずつ試してみてください。
ほんの少しの工夫で、バイト終わりの足取りは驚くほど軽くなるでしょう。






