アルバイトを始める際、多くの人が「自分に務まるだろうか」「きつすぎてすぐに辞めたくなったらどうしよう」という不安を抱くものです。
求人票の華やかな言葉だけでは見えてこない、現場ならではの苦労や厳しさは必ず存在します。
しかし、あらかじめ何がどのように「きつい」のかを具体的に知っておくことで、自分に合った職種を選び、ミスマッチを防ぐことが可能です。
本記事では、多くの人が「きつい」と感じるアルバイトのランキングとともに、その理由や仕事選びで失敗しないためのポイントをプロの視点から詳しく解説します。
アルバイトを「きつい」と感じる3つの主な要因
アルバイトにおいて「きつい」と感じる感覚は人それぞれですが、大きく分けると「肉体的なきつさ」「精神的なきつさ」「環境的なきつさ」の3つに分類されます。
まずは、自分がどの要素に対して耐性が低そうかを確認してみましょう。
肉体的なきつさ
主に体力勝負の仕事で感じられるものです。
重い荷物を運ぶ、長時間立ちっぱなしでいる、あるいは常に動き回る必要がある職種がこれに該当します。
また、深夜勤務や早朝勤務など、生活リズムが崩れやすい時間帯の労働も肉体的な疲労を蓄積させる大きな要因となります。
精神的なきつさ
接客業におけるクレーム対応や、ミスが許されない責任の重い仕事、複雑な人間関係などが原因となります。
特に、不特定多数の顧客と接する仕事では、理不尽な要求を受けることも少なくありません。
また、単純作業の繰り返しによる「飽き」や「孤独感」が精神的な負担になる場合もあります。
環境的なきつさ
職場の温度調整が難しかったり、騒音が激しかったり、あるいは屋外での作業で天候に左右されたりする状況です。
また、人手不足で一人当たりの業務量が異常に多い、いわゆる「ワンオペ」状態も環境的なきつさに含まれます。
こうした環境下では、本来の業務以上のストレスを感じやすくなります。
バイトのきついところランキングTOP10
世の中の口コミや労働環境の実態に基づき、特に「きつい」と言われやすいアルバイトをランキング形式で紹介します。
それぞれの仕事内容と、具体的な辛いポイントを詳しく見ていきましょう。
1位:飲食店(居酒屋・ファミレス・ファストフード)
飲食店は、アルバイトの定番でありながら、常に「きついバイト」の上位にランクインします。
業務の多忙さとマルチタスク
昼ランチや夕食時、週末のピークタイムは戦場のような忙しさになります。
ホール担当であれば、注文取り、料理の配膳、会計、テーブルの片付けを同時にこなさなければなりません。
キッチン担当も、次々と入るオーダーを正確かつ迅速に調理する必要があります。
この圧倒的なスピード感とマルチタスク能力が求められる点が最大の難関です。
酔客や理不尽なクレームへの対応
特に居酒屋では、お酒が入ったお客様の対応が精神的な負担になります。
絡まれたり、大きな声で怒鳴られたりすることもあり、精神的なタフさが求められます。
また、オーダーミスや料理の提供遅れに対して厳しい言葉を投げかけられることもあり、接客ストレスが非常に高い職種といえます。
2位:引越し
体力的な限界に挑戦することになるのが引越しのアルバイトです。
想像を絶する肉体労働
タンスや冷蔵庫、洗濯機といった大型家電・家具を人力で運びます。
エレベーターのないマンションの階段を往復することも珍しくありません。
夏場は熱中症のリスクがあり、冬場は冷え込む中で汗をかくという過酷な環境です。
筋力だけでなく持久力も必須となります。
現場の緊張感とスピード
引越しの仕事は時間との戦いです。
次の現場が控えているため、常に急かされるような雰囲気があります。
また、お客様の家財道具を傷つけることは絶対に許されないため、重労働でありながら細心の注意を払う集中力も求められます。
リーダー格の社員から厳しい叱咤激励が飛ぶことも多く、体育会系のノリが苦手な人にはきついと感じられるでしょう。
3位:コールセンター
座り仕事だから楽だと思われがちですが、精神的なきつさはトップクラスです。
クレーム対応の連続
特に受信業務(インバウンド)の場合、電話をかけてくるお客様は何かしらの不満やトラブルを抱えていることが多いです。
最初から怒鳴り声で始まる電話も少なくなく、一日中謝り続けることもあります。
自分のせいではないことで責められるため、感情を切り離して対応するスキルがないと心が折れてしまいます。
厳しい管理体制
コールセンターは秒単位で業務が管理されています。
通話時間、後処理時間、離席時間などがすべてデータ化され、効率を求められます。
また、回答の正確性や言葉遣いも常にチェックされるため、自由度が低く監視されている感覚が強い仕事です。
4位:コンビニ
「どこにでもあるから」と安易に選ぶと、その業務の幅広さに驚かされることになります。
覚えることが多すぎる
レジ打ちだけでなく、品出し、清掃、公共料金の支払い、宅配便の受付、チケット発券、ホットスナックの調理など、業務は多岐にわたります。
さらに、キャッシュレス決済の種類が増え、キャンペーンも頻繁に変わるため、常に最新の情報をアップデートし続けなければなりません。
深刻な人手不足とワンオペ
店舗によっては、深夜や早朝に一人で店を回す「ワンオペ」が発生することがあります。
防犯上の不安に加え、一人でレジ待ちの行列をさばきながら他の業務もこなさなければならない状況は、肉体的にも精神的にも非常に過酷です。
5位:塾講師・個別指導
教育に関わるやりがいはありますが、特有の重圧があります。
責任の重さと準備時間の長さ
生徒の成績向上や志望校合格という明確な結果を求められます。
もし結果が出なければ、保護者からの厳しい指摘を受けることもあります。
また、授業時間以外の「予習」や「報告書作成」に時間がかかり、実質的な時給が低くなってしまうというケースも散見されます。
コミュニケーションの難しさ
勉強が嫌いな生徒のモチベーションを上げたり、気難しい保護者と信頼関係を築いたりするには、高度なコミュニケーション能力が必要です。
人前に立って話し続けるエネルギーを消耗するため、内向的な人にはきつい職場になりがちです。
6位:イベント設営・運営
コンサートや展示会を支える仕事ですが、その裏側は非常にハードです。
労働時間の不規則さと体力消耗
深夜から設営を開始し、イベント終了後に撤収作業を行うため、勤務時間が深夜から早朝に及ぶことがよくあります。
重い機材を運び、長時間立ちっぱなしで誘導を行うなど、ハードな肉体労働が基本です。
天候と現場の怒号
屋外イベントの場合、雨天決行でずぶ濡れになりながら作業することもあります。
また、イベント現場は時間厳守のため非常にピリピリしており、怒鳴り声が飛び交うことも珍しくありません。
華やかな表舞台とは裏腹に、泥臭い作業が中心となります。
7位:工場・軽作業(ライン作業)
単純作業が得意でない人にとっては、地獄のような時間に感じられます。
単純作業の繰り返しによる精神的苦痛
ベルトコンベアから流れてくる商品に対して、同じ動作を数時間繰り返します。
会話は一切禁止されることも多く、時間の経過が極端に遅く感じるのが特徴です。
集中力が切れるとミスに繋がり、ライン全体を止めてしまうというプレッシャーもあります。
身体への局所的な負担
ずっと同じ姿勢で立ち続けたり、同じ筋肉を使い続けたりするため、腰痛や腱鞘炎などの職業病になりやすい傾向があります。
空調管理が不十分な倉庫のような環境での作業も多いため、夏や冬は特に環境が厳しくなります。
8位:警備員
「立っているだけ」というイメージとは異なり、忍耐力が必要な仕事です。
長時間の立位保持と天候
交通誘導などの場合、炎天下や極寒の中でも指定の位置に立ち続けなければなりません。
動くことができないため、体温調節が難しく、足腰への負担も相当なものです。
天候に直撃される過酷さは、他のバイトにはない厳しさです。
危険との隣り合わせ
工事現場での車両誘導など、一歩間違えれば重大な事故に繋がる責任があります。
ドライバーからの心無い言葉を浴びせられることもあり、精神的な忍耐強さが不可欠です。
9位:介護職(補助)
社会貢献度は高いですが、心身ともに消耗が激しい仕事です。
排泄介助や入浴介助などの肉体負荷
自分より大きな人の体を支えたり、動かしたりするため、腰を痛める人が非常に多いです。
また、排泄物の処理などの不潔を伴う作業もあり、これに抵抗がある人には非常にきつく感じられます。
感情労働の側面
認知症の方の対応など、思い通りにいかないことが多々あります。
優しく接し続ける必要がありますが、時には暴言を吐かれたり拒否されたりすることもあり、感情のコントロールが非常に難しい職種です。
10位:アパレル販売
華やかに見えますが、販売ノルマや立ち仕事の辛さがあります。
常に完璧な外見と笑顔の維持
自社の服を自費で購入(社販)して着用しなければならないことが多く、給料の多くが服代に消えてしまうこともあります。
また、閑散期でも常に「見られている」意識を持ち、笑顔で立ち続けなければならない精神的な疲れがあります。
ノルマへのプレッシャー
「個人ノルマはない」とされていても、店舗全体の目標達成のために積極的に声をかける(アプローチ)ことが求められます。
断られ続けてもめげずに接客し続けるメンタルと営業力が必要です。
| 職種 | 主なきついポイント | 向いている人 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 繁忙期の忙しさ、接客ストレス | 体力があり、効率的に動ける人 |
| 引越し | 激しい筋肉疲労、厳しい上下関係 | 体力をつけたい、短期で稼ぎたい人 |
| コールセンター | クレーム対応、座りっぱなし | 感情を切り離せる、言葉遣いが丁寧な人 |
| コンビニ | 覚えることの多さ、ワンオペ | 柔軟性があり、マルチタスクが得意な人 |
| 塾講師 | 成績への責任、準備の多さ | 教えることが好き、責任感の強い人 |
きついバイトを続けるメリットはあるのか?
「きつい」と分かっていて、あえてその仕事を選ぶ、あるいは続けることにはどのような意味があるのでしょうか。
まず、時給が高めに設定されていることが多い点です。
引越しや深夜のコールセンター、介護などは、その過酷さゆえに他のバイトよりも給与水準が高い傾向にあります。
短期間でまとまった金額を稼ぎたい人にとっては、きつさは「対価」として受け入れられる要素になります。
次に、圧倒的なスキルアップが期待できる点です。
飲食店でのマルチタスク能力、コールセンターでの正しい敬語とコミュニケーション能力、引越しで鍛えられた体力などは、その後の就職活動や社会人生活において強力な武器になります。
「あのきついバイトを乗り越えた」という経験は、自分自身の大きな自信に繋がります。
しかし、心身を壊してまで続ける必要はありません。
あまりのストレスで眠れなくなったり、慢性的な痛みが体に残ったりする場合は、早めに撤退することも立派な戦略です。
仕事選びで失敗しないためのコツ
「きついバイト」を避ける、あるいは自分に合ったきつさのレベルを選ぶためには、求人票を眺めるだけでは不十分です。
以下のポイントを意識して、慎重に選びましょう。
1. 現場の下見を必ず行う
飲食店やコンビニ、アパレルなどの店舗系バイトであれば、客として実際に足を運んでみましょう。
店員の表情は死んでいないか、掃除は行き届いているか、忙しそうな時の店員同士の会話はトゲトゲしていないかなどを観察します。
バックヤードから怒鳴り声が聞こえるような店舗は避けるのが無難です。
2. 「未経験歓迎」「アットホーム」の裏を読む
求人広告でよく使われるフレーズには注意が必要です。
「未経験歓迎」は裏を返せば「誰でもいいから人手が足りない」状態かもしれません。
「アットホーム」は「プライベートの境界線が曖昧で、サービス残業が当たり前」という文化の隠語である場合があります。
具体的な業務内容や、教育体制(マニュアルの有無など)を面接で確認しましょう。
3. 条件面を数値で把握する
「時給が良い」だけで決めるのではなく、以下の点をチェックしてください。
- 交通費は全額支給か(自腹を切ると実質時給が下がる)
- 残業代は1分単位で出るか
- 休憩時間はしっかり確保されているか
ワンオペが発生する時間帯はあるか
4. 自分の「苦手」を言語化する
「楽なバイト」を探すよりも「これだけは耐えられない」という要素を排除する方が、失敗は少なくなります。
- 立ちっぱなしは嫌(座り仕事を選ぶ)
- 怒鳴られるのは絶対無理(クレームの少ない職種を選ぶ)
- 単純作業は死ぬほど飽きる(動きのある仕事を選ぶ) : このように自分なりのNG項目を明確にしましょう。
もし「バイトがきつい」と感じてしまったら
すでに働き始めていて「きつい、辞めたい」と思っている場合、まずはその原因を特定しましょう。
もし原因が「慣れ」で解決しそうなもの(業務手順を覚えていない、体力がまだついていないなど)であれば、まずは1ヶ月続けてみることをお勧めします。
コツを掴んだ瞬間に、あんなにきつかった仕事が急に楽に感じられることはよくあります。
一方で、人間関係の嫌がらせやパワハラ、契約外の労働の強要などが原因である場合は、すぐに辞める準備をしましょう。
アルバイトはあくまで生活の一部であり、あなたの人生や健康を犠牲にしてまで守るべきものではありません。
まとめ
アルバイトにおいて「きつい」と感じるポイントは、仕事内容だけでなく、個人の性格や体力との相性に大きく依存します。
飲食店の忙しさを「活気があって楽しい」と感じる人もいれば、コールセンターのクレーム対応を「事務的に処理できるから気にならない」と感じる人もいます。
今回紹介したランキングは、あくまで一般的に負担が大きいとされる職種を挙げたものです。
大切なのは、自分が何に対してストレスを感じ、何に対してやりがいを見出せるかを冷静に分析することです。
事前のリサーチを徹底し、面接で気になることをしっかり質問することで、ブラックな職場を回避することは可能です。
もし今の職場がどうしても辛いのであれば、その経験を糧に、次は自分にぴったりの環境を探してみるのも一つの正解です。
この記事を参考に、あなたが自分らしく働けるアルバイト先を見つけられることを願っています。






